幻立喰・ソ

第78回「SOBAフレームワーク」


※写真はイメージです。新年の。なにが? みかんが。

 
「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」。前回記したように体育館の舞台から飛び降りる覚悟でAT◯K2016にバージョンアップしたばかりなのに「2017出ました。いかがっすか?」という案内が舞い込み、ふんまんやるかたない新年早々、みなさまあけましておめでとうございます。本年もストレスという名のマイレージがどんどん溜まる、溜まったところでどこにも行けない行き場のない怒り爆発の当コラム事始めです。

 昨年の暮れ「そば」と入力したらよくあるように(ありますよね?)半角英数の「soba」と入力され、そのまま検索したら「SOBAプロジェクト」がトップに出ました。
 なんですかこれ? 新手のワンクリック詐欺ですか? とドキドキしながらクリックすると、詐欺どころか京都大学とオムロンの共同プロジェクト。さらに東京大学、東京工業大学、早稲田大学、慶應義塾大学やNTTコムウェアまで加わり、文科省の委託事業にもなっている日本のトップ頭脳集団がSOBAの研究しているようです。天ぷらとかき揚げのパラレル問題を始めとして、立喰・ソに椅子があっても立喰・ソなのか問題、ネギ入れ放題における許容率、揚げ玉と天かすの差別化、北海道における天ぷらそばとたぬきそばの立場など、どつぼに嵌まってとっぴんしゃんなおばちゃん大統領や、言いたい放題の不動産大統領との外交関係を考慮する上でも、余裕で避けても通れる諸問題を日々研究していると思いたいのですが、思うにとどめて置くのがいい大人の解釈です。

「SOBAフレームワークを応用したビジュアルコミュニケーションツールの企画・開発・販売・運用・保守を主に行う。特徴として、開発現場においてSOBAフレームワークは、映像パーツやチャットパーツなどビジュアルコミュニケーションに必要な機能を内包しているので、低コストで開発を進めることが可能」ということをやっているんです(もちろんウィキ先生からのフルパクリ)。なるほど…………何のことやらさっぱりです。ちなみにSOBAフレームワークとは、「Session Oriented Broadband Applications」の略で、「いつもあなたの傍(そば)にいる」という意味から「SOBA」と名づけられた。つまり、遠隔地にいる人たちがいつでも近くに居るような環境を作るためのフレームワークという意味。だそうです。解ったような解らないような。いや、はっきりと解りません。
 傍(そば)の意も含めたSOBAのようですが、私もソ人(ソ連人に非ず)。蕎麦はいつも傍(そば)にいる。つまりSOBAフレームワークを先取りした、IT技術の最先端を突っ走るハイパーメディアクリエイティブな意識高い系の流行発信基地なのです。むろん基地といっても、昭和20年のどうにもならないラバウル基地です。



激辛たぬきき


2014年冬
私事で恐縮ですが、昨年最後に食べたのは、F士そばの激辛赤たぬき。赤激辛とはいえ、徳田球一クラスだろ? とナメていたらスターリン級でびっくり。ピリッとしたシメになりました。(2016年12月撮影) 今年最初に頂いたのは、初訪問となる川崎のY一。ガツンとした関東正統派ソに新年早々うっとり。「お年賀です」と缶コーヒーまでいただいて、いい年始めになりました。(2017年1月撮影)

 
 新年早々、新しいSOBA(つまり新そばですね。シーズンはまだですが)、ためになりましたね。SOBAプロジェクトのみなさん、明るいSOBAフレームワーク実現のため、今年もがんばってください。
 そもそも調べようと思っていたのは、大規模再開発でどうなることかと思っていたら駅前ロータリーに残って、やれやれと思った矢先、2016年いっぱいで幻立喰・ソになってしまった京急蒲田駅西口のそば新です。
 かつて東急目蒲線(現・多摩川線)沿線に会社があった頃、羽田に行くときは蒲田(JR蒲田駅と同居)まで出て、京急蒲田まで歩いたのですが、東急蒲田駅に二葉、JR駅には現在大森に移転して別の名前で営業中のめん亭、駅の西口側には味のある雰囲気のMよし庵、大チェーン店のYで太郎、F士そば、23区唯一のY田うどん、東口の商店街にはE戸そば、S濃路、H根そば、そしてそば新がありました。こんなにあると立喰・ソ青木ヶ原樹海状態で迷い道くねくねに陥りそうなのですが、往路は途中で立ち止まるのもめんどうなので京急駅前のそば新で。復路はだいたい夜ですからアンカレッジ経由のようにS濃路に着陸して給油、アンカレッジ名物のうどんならぬソでシメてという保守系ワンパターン。
 S濃路の離陸時刻がついつい延びて、終電が先に離陸するパターンも日常酒蕎麦時でした。駅前でふらふらしていると「オニ〜さ〜ん、マサ〜ジあるヨ〜。きもちいいよ〜わかいオネサンよ。さんぜんえんポッキリヨ〜」と怪しげなおばちゃんが誘います。ついついついて行くと、普通のマンションというかアパートみたいな一室に案内され、期待とは裏腹にファッショナブルではない方の至極まっとうなマッサージをされてうとうと。「でんしゃのうごくまで、ねてていいヨ〜」というのでそのまま寝込んで起きたら身ぐるみはがされていたということもなく、お目覚めのコーヒーまで飲ませてくれて、お会計は「さんじゅうまんえんネ〜」ということもなく「さんぜんえんネ〜またきてね〜」という、人情あふれる町でした。まあ、ホントに怪しくほんとうに恐ろしいお店もあるかもしれませんが。



二葉


めん亭


五稜郭駅のみかど(2月28日)
東急蒲田駅にあった二葉。現在は、しBそばになりました。(2002年3月撮影) かつてJR蒲田駅構内にあっためん亭。バイク乗りには縁起のよくない名称ですね。(2002年6月撮影) 昭和の香りぷんぷんのMよし庵。現在は看板も変わってちょっと垢抜けました?(2004年1月撮影)


Yたろうも


Fそば


Y田うどん
大チェーンのYで太郎ももちろんあります。(2013年2月撮影) 大チェーンのF士そばももちろんあります。(2002年4月撮影) 大チェーンでも23区内で唯一のY田うどんも。(2015年4月撮影)


E戸そば


S濃路


H根そば
都内にちょろちょろあるE戸そば。たぶんまだあると思います。(2004年2月撮影) 平和島、大森にもある24時間べろんべろん、つるんつるんのS濃路。(2004年2月撮影) 小田急系のH根そばもあります。(2012年3月撮影)

 
 新年早々ヨタ満載ですがやっと本題です。最近あちこちに進出中のそば新ですが、私の記憶では、京急蒲田、国鉄(現JR)蒲田の工学院の方、そして立喰・ソが似合わなそうなオシャレタウンの東急東横線の自由が丘(ちなみに名古屋にあるのは自由ヶ丘。乗り換え検索するときは要注意。渋谷から2時間36分、10630円なんて結果が出たりします)は結構昔からあったと思います。チェーン店なのか、のれん分けなのか、フランチャイズなのかよくわからないのですが(いつものごとくめんどくさいので調べていない。しょうがねえから検索するか、ということで冒頭の話に繋がるのです)立喰・ソ界の暴れん坊快速特急と誰も呼ばないけれど、私は呼びたい、かつてのえきめんや同様、店ごとにメニューや味、雰囲気が違っている(いた)と思います。と偉そうに言っても、他の2軒はほとんど行ってないのでうろ覚えです。さらに京急蒲田駅前では、こともあろうかソではなく焼肉ライスばっかり食べていましたから、うろ覚えの上にあやふやもいいところ。SOBAフレームワークの風下にもおけない、「Sobashinn Oniku Bkari Akimahengana=そば新 お肉 ばっかり あきまへんがな」というひと味違うSOBAフレームワークのお話でした。おあとがよろしくないようですが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さてと、新年のご挨拶も済んだことだし、京急蒲田のそば新を偲び自由が丘に行ってみますか。もちろん焼肉ライスを食べにね(なぜかウインク)。



そば新


そば新
再開発前は路地だったのに(左・2010年11月撮影)、再開発後は駅前ロータリーに面した一等地に(右・2016年12月撮影)。知らなければ同じ店とは思えません。


そば新


そば新
そば新といえば焼肉ライス(個人の感想です)。新しいそば新(略して、上から読んでも下から読んでも「しんそばしん」にならない新そば新)はどうかわかりませんが、自由が丘では食べられます。(2013年2月撮影) まさかの突然の貼り紙に驚いたみなさんも多いことでしょう。最後の最後で店名を知りました。さらばそば新京急蒲田店。最近はすっかりごぶさたでしたが、長いあいだお世話になりました。ありがとうございました。(2016年12月撮影)
●立喰・ソNEWS 2017 緊急告知

2017年1月30日、文春オンラインhttp://bunshun.jpにて、坂崎師匠の連載コラムが始まりました。記念すべき第1回は、港屋インスパイア系、新進気鋭の「そばうさ」をフューチャーした“半蔵門「そばうさ」は立ち食いそばのニューウェーブだ”です。あっとおどろく、あのソを師匠が食べています。さすがは師匠の情報もぎっちり。ぜひご覧下さいませ。

●立喰・ソNEWS 2017 

大昔、定年まで働いたおじいちゃんは、孫をひざに乗せ縁側でのたりしていられたのですが、昨今はよほどの家族愛と余裕がなければ夢のまた夢。かといって、働こうにも定年後の再雇用どころか、若者さえ定職に就けないとんでもない世の中になってしまいました。公務員になって定年後は天下りで人生を謳歌している人は、若い頃がんばって勉強したおかげですね。まさにアリとキリギリス。

なんの話かと申しますと、秋田港であった奇跡的な再雇用のお話です。「ああ、秋田港に放置されている24系の再雇用先がやっと決まったのか」とガッテンするのはバリ鉄(まだそのままらしいです。もったいない)。秋田港といえばたぶん日本で一番有名なそばうどん自販機です。今さら詳細をうだうだ説明する必要もないでしょう。NHK恐るべしです! もはやソ神様ですから初詣のかわりに表敬訪問して参りました。週末は行列もできる人気で、販売機と同仕様のおみやげ(うどんのみ。自販機より40円安い210円)も道の駅で販売されており好評のようです。なにはともあれ屋根付き屋内で再雇用された、富士電機のVFN901B型(機番はメモし忘れました……)が末永く働き続けられますように。



富士電機VFN901B型
道の駅あきた港ポートタワーセリオンのポートタワー(なんと無料。一見の価値あり!)の反対側の現在工事中の建物の一画、二重扉開けると、ちょっと怪しげなこの光景。知らなければ先に進むのは躊躇されますが、この奥に御本体が鎮座されております。お近くにお越しの際は御参拝?を。ちなみに今は24時間ではなく10-17時です。

バソ
バ☆ソ
日本全国立ち喰いそば全店制覇を目論む立ち喰いそば人。やっと1000店以上のデータを収集したものの、ただ行って食べるだけで、たいして役に立たない。立ち喰いそば屋経営を目論むも、先立つものも腕も知識も人望もなく断念。で、立ち喰いそば屋を経営ではなく、立ち喰いそば屋そのものになろうとしたが「妖怪・立ち喰いそば屋人間」になってしまうので泣く泣く断念。世間的には3本くらいネジがたりない人と評価されている。一番の心配事はそばアレルギーになったらどうしよう……。


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